坂本のブログ

僕の備忘録です

オタクのノベルゲームレビューVol3~月姫編~

 やっほ~、坂本だよ~。最近MTGというトレーディングカードゲームにハマっているのですが、そこそこ結構な金額を使ってしまいました。とりあえず最優先でデュエルランド全種類プレイセットを揃えたいですね。破産する日も近いかもしれません。

 

 

 1.初めに

 今回は前回のレビュー記事の最後に書いた通り、僕が敬愛して止まない「奈須きのこ」先生の代表作「月姫」について書いていこうと思います。元々漫画やアニメで大体の物語は知っていましたが、原作であるゲームをやらないともったいないといわれ購入を決めました。購入にあたって月姫単品と月姫に加え追加ディスクがセットになった月箱がありましたが、どうせなら全部やりたいと思い月箱を購入しました。(追加ディスクは月箱限定品ではなく、単品でも購入できます)

 余談ではありますが、月箱購入してから2週間後くらいに待望の月姫リメイクの発売が発表され、相場が上昇、一時マーケットから消えるという事態となり際どいタイミングでしたが購入しておいてよかったなと思いました。

 ※ネタバレを含みますのでご注意ください。

 

 

 2.あらすじ

 子供の頃の怪我の後遺症から「モノの壊れやすい線」が見えてしまう主人公、遠野志貴は8年間預けられていた家を離れ実家へ戻ることになった。

 古い洋館での、すでに他人のような妹と二人の使用人との新しい生活が始まる。

 時を同じくして多発する猟奇殺人事件。被害者は一様に全身の血液を抜かれていた。

 ある出来事をきっかけに、志貴は吸血鬼達の壮絶な戦いに巻き込まれて行くこととなる。

 

 純白な吸血鬼は微笑む。

「私を殺した責任、とってもらうからね」

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 平凡な主人公・志貴がふとすれ違った女性を殺してしまうが、なんとその女性は吸血鬼で生き返って再び志貴の前に現れる。お人好しの志貴君は吸血鬼と一緒に吸血鬼狩りを手伝うことになる。一緒に吸血鬼狩りをしているうちに、吸血鬼である彼女のことを好きになってしまう。

 

 3.人物紹介

 遠野志貴

 本作の主人公。子供の頃の臨死体験がきっかけで「モノの死」を見ることの出来る「直死の魔眼」を得る。普段はいたって普通の青年だが、殺人衝動や殺人鬼としての資質がある。

 アルクェイド・ブリュンスタッド

 本作のメインヒロイン。天真爛漫で無邪気な性格。真祖に区分される吸血鬼。

 シエル

 志貴の学校の先輩。だがその正体は異端狩りの組織「聖堂教会」の討伐者。吸血鬼と戦う。

 遠野秋葉

 主人公の妹。遠野家当主として育てられ、礼儀正しく堅物。しかし8年も離れて暮らしていた志貴のことを好いているが、素直に感情を表せない。ツンデレ。おまけに黒髪ロング。

 翡翠琥珀

 姉妹で遠野家の使用人。性格が正反対であり翡翠が寡黙で無表情であり、一方琥珀はいつも笑顔絶やさず明るい。

 

 弓塚さつき

 月姫の真のヒロイン。かわいい。

 

 

 

 

 4.各√感想

 

 アルクェイド

 主人公・志貴は平凡な生活を送っていたがある突然ある日突然殺人衝動に駆られアルクェイドを殺してしまうが、吸血鬼であるアルクェイドは復活し志貴と再会する。吸血鬼狩りに日本に来ていたアルクェイドだが、志貴に惨殺された結果大きく弱体化し、その責任として志貴はアルクェイドの吸血鬼狩りを手伝うことになる。

 吸血鬼であるアルクェイドだが、無邪気で天真爛漫という吸血鬼らしくない吸血鬼というキャラクターには親近感が持てました。知識だけで社会経験がないためがゆえの言動、行動は愛らしかったですね。特に「好きだから、吸わない」というセリフには心打たれました。

 アルクェイド√で一番特筆すべきは作中で再三出てくる「約束」です。蒼崎青子との約束、深夜の待ち合わせ、全てが終わった後もう一度遊びに行くという約束。約束を守らないとバッドエンドが迎えているという、約束の大切さを教えてくれます。True ENDでは夕暮れの教室で再開し、最後のお別れをするというものでしたが、Good ENDでは最初の再開と同じく志貴の登校時、交差点でアルクェイドがガードレールにもたれ掛かって再開し、約束を果たしに学校をさぼってわがまま姫と遊びに行くというものです。再開の仕方は同じなのにもかかわらず、再会した時の感情が真逆なのはエモいですね。

 

 ちょっと考察

 1つ疑問なのですが今作において代表的なセリフである「わたしを殺した責任、ちゃんととってもらうんだから」に関してなのですが、本編のテキスト中では「わたしを殺した責任、ちゃんととってもらうんだから」ですが、あらすじの紹介文では「私を殺した責任、とってもらうからね」となっているのはなんでなんでしょうね。元々本文中の「わたしを殺した責任、ちゃんととってもらうんだから」があり、あらすじ紹介の文として多少デザインされたものが「私を殺した責任、とってもらうからね」となっているのが正しい解釈なんですかね。

 

 

 

 シエル√

 結論から言うと、志貴のとりあい、痴情のもつれですね。ですがそこに転生者ロアが加わることで話に深みが増してますね。

 ロアを倒すところまではアルクェイド√と同じですが、シエル√では倒されたロアが志貴に移るというサプライズがありました。あらすじは同じで、シエル視点でえがかれるだけかと思っていたのでこれにはびっくりしました。

 アルクェイド√からプレイしているため、シエルが教会の人間であることが分かってしまっているので意味深なセリフがあり、1つの物語として楽しみにくいというのがちょっと残念でした。(システム上仕方ないですが)

 お互いに罪を考えて殺しあうという点、バッドエンドも非常に楽しめました。ロアの転生体(だった)と聖堂教会の代行者、学生シエル、それぞれの思い、葛藤が垣間見え考えさせられました。聖堂教会の代行者として志貴を殺そうとしながらも、シエルの本質が純愛だったのも良かったです。

  True END:アルクェイドのテキストが少なく、アルクェイドの心情の移り変わりが読み取りずらかったです。

 Good END:最後、もしかして世界線変わってる?カニファンにしか見えなかったんだけど(僕はカニファンが大好きです)

 

 秋葉√

 翡翠が意外と志貴よりでおちゃめでかわいかったです。物語前半は兄妹の学園ものでしたが、物語後半は終始儚かったです。遠野家当主として遠野の血、過去の遠野家のしがらみ、自分の思いと向き合った秋葉に尊敬の念に堪えません。自身のプライドのせいで素直に感情を表せないでいる(いわゆるツンデレ)秋葉だが、志貴に思いの丈明かし、自分の身の振り方まで伝え、あまつさえ自分の最後を志貴に頼むという秋葉らしかったです。

 死にかけから蘇生し、生に感謝している志貴が「死が、救いになる事なんてない」とこぼし、考えさせられました。

 ロアの転生体として扱われた遠野シキだが、この√では容姿・性格も遠野シキとして出てき、遠野シキの人格を知ることができる貴重な機会与えてくれことは嬉しかったです。

 True ENDでは、志貴は共に歩むことができず、Normal ENDではふたりでの時間は残されているが、いつかは二人に破滅がやってくるというジレンマ。バッドエンドでも良いので共に歩む道も見せて欲しかったです。

 

 翡翠

 とりあえず一言だけ言わせてください

 翡翠√バケモンだな!

 

 メインヒロインではないということもあり少々短かったのは残念でした。結構最後まで翡翠出てこなと思ったら、途中から急転直下に話が進んでいき画面から目が離せず物語に没頭でき素晴らしかったです。翡翠のノックを幼少期のノックを重ねるシーンは、過去に縛られ過去を振り返りながら物語が進んでいく月姫のとてもマッチしていると思いました。初めて翡翠から触れるシーンはエモいと思ったが、最後の最後で翡翠が異性に触れられるのを避ける理由が明かされ儚く胸が苦しくなりました。翡翠√ということだけあって当然でしたが、強気に迫ってきたり、照れたり表情豊かで非常にかわいかったです。特に「今だけは一番にしてください」という一言は使用人翡翠翡翠個人の想い狭間から出た言葉であり、その葛藤の終着点としてこの一言が出たのは人間味溢れ奈須きのこの執筆力の高さが窺えました。

 True END:翡翠√だと思っていたら最後秋葉がなくなるのは意外でした。最後に琥珀の狂気がフッと垣間見えるのが型月らしいですね、息が詰まりました。幼少期志貴が秋葉をかばうのと、秋葉が琥珀をかばうのを重ねて琥珀が絶妙な顔をして思考するのは何とも言えなかったです。屋敷に2人しかいなくなってしまった反面、2人だけの生活が始まると思い高揚してしまいました。

 Good END:True ENDで2人が亡くなるのに対して2人とも助かるという対比になっているが、結果として失うものもあった。だが琥珀にとっては良い結末であり、2人にとっても新たな始まりとなる大変素晴らしい結末でした。

 

 琥珀

 翡翠√でリボンが空に舞って終わるというリボンを印象付けられた後に、リボンを返す琥珀√に続くのはよくできてるなと思いました。秋葉と琥珀との会話は理解しやすくスラスラ頭に入ってくる反面、淡白で味気なく感じてしまったのが残念でした。

志貴に始まり志貴に終わる、8年前の事故をきっかけに琥珀翡翠に成り代わって「翡翠」という芝居を演じ、その芝居が憧れていた夢で幸せで、翡翠もそれを分かっており今の琥珀の立場を崩せないというのが儚かったですね。お互いがお互いを想っているのに最前の結果にならないという....

「大丈夫よ、翡翠ちゃん。翡翠ちゃんが元気になるまで、わたしが代わりになってあげるから。だからいつでも、翡翠ちゃんが元気になったら翡翠は返してあげるからね。」という琥珀のセリフで、「いつでも、翡翠は返してあげるからね。」という一言がどれだけ翡翠のことを思っているのかが伝わってきて心に沁みました。

 琥珀の「痛くてもがまんしないと」がそのまま琥珀への問いかけになっていて、「悲しさ」とは何かと考えさせられました。意外と秋葉が噛んでくると思ったらラスボスで一本取られました。

 七夜になってからは状況把握、能力分析が鋭く七夜一族の凄さを見せつけられました。最後の最後で七夜から遠野志貴に戻り、秋葉を殺さないのは実に遠野志貴らしいなと思いました。

 再会し「おかえりなさい」からシーン背景がセピアに変わりそのまま終わり、その後のテキストがないことによってその先を色々想像力を掻き立てられ素晴らしい終わり方でした。

 

 弓塚√

 弓塚....、しょっぱなから話重たすぎ。志貴も吸血鬼になるかと思ったら違う。あの短い中で心情の変化を画いている奈須きのこはやはりすごいと再確認しました。月姫の√の中で洗練されてて一番好きですね。回想でもいいので幼少期もみたいと思いました。

 

 月蝕(遠野志貴

 少年時代に生き方に関する教えなどを教わったのとは対照的に、青子の問いかけに対して自分のしてきたことを言い、青子が納得、教えられた形になり先生に恩を返し、10年前の伏線を回収し最上の終わり方だったのではないかなと思いました。

 

 5.システム

 

 単純な分岐だけではなく、デッドエンドがあり√を開けるのが楽しくプレイできました。また知得留先生おもしろく分岐選択のヒントをくれ、非常にプレイしやすかったです。

表示形式変更で1ページごとに変更でき、セリフ主体のラノベ風な雰囲気を感じ読みやすかったです。立ち絵変更時イラストを見せるためにテキストがいったん消えるのが、個人的には読むテンポが落ち残念でした。ログが一定以上遡れず、章を遡ってログを辿れない、ログからその場面に飛べないのは非常に不便でした。既読文章のスキップ機能で2周目以降テンポアップできたのは良かったです。

 √を進めるごとに世界観、設定が明らかになり先を進めるごとに、「ここがあそことつながっているのか」と感心できました。

 ヒロインたちだけではなく主人公である遠野志貴の終幕「月蝕」があるのは大変嬉しかったです。

 UI見にくい、640×480を全画面にすると16:9のモニタと合わなかったですがこれに関しては2000年初頭に出たものなので致し方ないかなと。

 

 

 6.終わりに

 ということで遂に月姫も終わってしまいました。第一印象と物語を読んだ後で翡翠琥珀の印象が正反対でしかも裏で糸を引いていたのが琥珀で驚きましたね。

 月姫リメイクが出たらリメイクのレビューも上げると思いますのでよろしくお願いします。それではごきげんよう

 

 P.S.最優先でデュアラン揃えたいとか言っていましたがなぜかデュアランではなくTime WalkとAncestral Recallを買っていました。なんででしょうね。

 

 関連リンク

 

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