坂本のブログ

僕の備忘録です

オタクのノベルゲームレビューVol 12~空想彼岸~

 こんにちは坂本です。今回は前回に引き続きシナリオルクル、CG夕霧のタッグが制作する空想彼岸をプレイしていきます。ファンタジーチックなものは普段やらないので楽しみですね。

 

 ※ネタバレを含みますので未プレイの方はブラウザバック推奨です。

 

 

 

 

 

 1.あらすじ

 

空想世界に迷い込んだぼくの前に、

 狐耳を持つ少女が現れた!

 その少女に導かれた妖狐の里は、

 楽しげで、幸せな、けれど憂いを秘め

 ている場所だった。

 

 「妖狐はね、虐殺したのーー」

 「そして虐殺された」

 

 存在が他者とのになる彼らは、

 ただ滅びを待つことしかできない。

 

 そんな中、突然現れた人間である

 ぼくは何を見、考え、動くのか。

そしてーー

  「どうしてぼくは、ここにいるのだろう?」

 

 

 2.登場人物

 

 四季巧士

 主人公。人間が滅びた後の「空想世界」に迷い込む。

 九家英里

 「空想世界」に迷い込んだ巧士を見つけ里に連れ込む。

 

 

 

 3.感想

 話の導入がこの物語の本質である常識善悪に関して簡潔に触れてから始まる。

 

 至極当然 然同地獄 空想世界、一日目

 異物である人間に対してそれぞれの思惑を持って巧士に接する狐人達。ミセリの話を聞いた後だとミセリの取った行動は正しく、出会ってすぐに打ち解けた英里の異常さに認識できました。自分の中の常識が常に正しいわけではない

 

 友愛 崇拝 空想世界、二日目

 村日達と関わりを持ち始め、現在直面している問題が明かされ始める。特に柚木の性格の原因に関しては現実世界でもありうり、柚木にすべての責任があるわけではないので深いなと思いました。

 

 見上げた空 見下げた面 空想世界、三日目

 カフカさのしたたかさが覗える。柚木の拒絶は実は家族への愛であり、あの態度の裏には燃えるような激しい想いを秘めており自分自身でも努力しており意外な本心でした。

 狐狸大戦の全貌が語られたが概ねは予想通りでした。巧士を里町にするという話はと突拍子もなかったですが再び狐狸大戦が起きた時の最悪のケースを想定してのカフカの覚悟のある提案だと思いました。3日で巧士のことを見抜く観察眼はすごいですね。

 

 震撼 真贋 空想世界、七日目

 遊里の意外な家族への想い。その中に巧士のことが入っているのが大変意外でしたね。

 空想世界の理がかなり具体的に書かれており世界観のイメージが湧きました。空想世界の名の通りそこに住む者の認識によって左右されるというこれ以上ないネーミングセンスですね。

 いきなりのキス展開は話の流れ的にはアンバランスでしたが、巧士の人となりを表現していてよい描写だなと思いました。

 

 談笑 干渉 空想世界、八日目

 楕円の受け答えで受け答えで里への滞在が見え透いていたのは残念でしたね。滞在に向けての導入のため章自体の文量は少なかったですね。

 

 天秤 憐憫 空想世界、九日目

 狐側から狸側へ立ち位置が180度変わるのは新鮮でした。狸側に立つことで彼らの正義を理解でき、かといって狐側が悪と思わせないどちらの主張も両立させるテキストは流石ルクル氏だなと思いました。

 

 哀願 愛玩 空想世界、十日目

 急転直下の展開でしたが楕円の発現の違和感からカフカの死期を読み取るのはすごいなと思いました。ルクル氏らしいですね。

 章短め、箸休め。

 

 罪悪 最悪 空想世界、十一日目

 まさかの最終局面手前で自分の本質に気づいてしまい、ぎりぎりのところで手のひらをひっくり返してしまう。

楕円との話し合いの中で偽善について語っていたが結局のところ自分のことであるという結論。

 自分が偽善者であり、妖狐に対して畏怖を抱き、この状況から自分だけ逃げだそうとしているということを九里の3人と話し合えたということは意味のある事だったと思います。

 

 騒然 呆然 空想世界、十二日目

 妖狐を信じてみようと決意した楕円に対して、妖狐を信じられなくなった巧士という元々とは真逆の立ち位置が対比に対比になっていて綺麗でした。

 三長が妖狐ではないのは意外でしたね。自分の終わりが分かっていたとしても自らを妖狐と名乗り、妖狐を育てるという自分の正義を貫き通すカフカはカッコよかったですね。

 この世界は世界に住む者の認識によって保たれているというルールの元、瀬木カフカ、アルルの両名が亡くなった際ただ亡くなるのではなく、塵一つ残さず無に帰すという存在自体が無くなるというこの世界のルールに乗っ取った細かいところまで表現されている。

 

 世界 始まり ✕✕世界、✕✕日目

 巧士の現実世界編。偽善と言っておきながら正しいことを思うのは変わってませんね。僕がこのことを正しいと書くのはおこがましいですが。

 

 最終 哀愁 空想世界、十三日目

 あの時思ったことに重ねて今回は行動に移そうとするの、前章への回答になっているのいいですね。

 カフカ、巧士の意思を継ぎ里全員が信念を貫くのはよかったですね。化狸の中で楕円だけがまともと言うかは話を理解しようとする事を穂木滞在で見抜き、対象を楕円一人に絞り解決しようとする着眼点はすごいですね。妖狐も化狸も一人も殺さないといいつつその中に自分は含まれていないというアンバランスさ、あくまで主人公はこの世界の住人であり「この世界の行く末を見届けたい」という言葉の通りでしたね。

 妖狐の歌声についてこの世界に来てから間もないころから違和感が疑問を持ち、ファンタジーチックな答えじゃなく現実世界にも通用する科学的な面から解説で感動しました。

 戦った末の平和かと思いましたが、原因療法なのは意外でしたね。

 

 世界 終わり 現実世界、最終日

 せっかく円満で終わったと思ったら現実世界編のB面始まって苦しかったですね。プラスの方向に話が向くかと思ったのですが結局偽善のままで終わってしまいましたね。

 

 分岐点 終止点 空想彼岸

 あの出来事があったからこそ空想彼岸でのあの考え方、行動ができたというのは過去にも意味があったのではないでしょうか。また過去の罪を意味のあるものといい巧士のことを認めることのできる遊里は素晴らしいですね。

 過去の偽善をやり直すために現実世界に戻る一択だと思いましたが章題の通りに選択肢があるのは驚きましたね。

 

 「ぼく」と「きみ」 現実世界  選択肢 1、ぼくの世界に帰る。

 想像の通り少女と再会し面と向かって話し合いハッピーエンドで終わりましたね。空想世界での記憶を引き継いでいるのは大きいですね。

 

 「ぼく」と「きつね」 空想世界  選択肢 2、妖狐の世界に生きる。

 空想世界でのハッピーエンド。遊里の存在はなくなってしまったが、心の中で遊里のことを留めているので悪くないEndかと。

 

 「ぼく」と「せかい」 空想彼岸  選択肢 3、ここに残る

 この状況で遊里のことを気にかけこの選択ができるのは尊敬しますね。そんな巧士に遊里も初めて自分の気持ちを出す

 「例えどんな選択肢を選んだとしてもーーすべてを救うというのは無理なんだろう。ハッピーエンドの裏側で、誰かの悲しい結末が存在する」という巧士の言葉は刺さりましたね。このエンドが個人的には一番好きです

 

 

 4.システム

 BGMにバリエーションが少なく場面によってはシーンと合ってなかったのが残念でした。まぁおそらくフリーBGMを使っていそうなので致し方ないですが。

 ロードした際ロード以前のログを遡れないのは残念ですね。

 思ったよりCG多めで嬉しかったですね。

 

 5.最後に

 ということでいかがだったでしょうか。クリアレインをプレイした後すぐに始めたので余韻が残っており、普段やらないファンタジーものだったのでどうかなと思いましたが滅茶苦茶面白かったですね。話が面白いのは当然ですが、哲学的な側面も持ち合わせており非常に考えさせられることの多い作品でした。学校の道徳の授業に採用したらどうですか?文科省の官僚見てますか?採用しませんか?ねっねっねっ

 次回は引き続きルクル×夕霧がおくる「壊レタ、人ギョウ」だと思います。

 それでは~

 

 

 

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