坂本のブログ

僕の備忘録です

オタクのノベルゲームレビューVol 13~壊レタ人ギョウ~

 こんにちは坂本です。クソ忙しすぎて5月やっと1本ゲームが終わりました。今年そんな消化できないかもしれません。

 

 ※ネタバレを含みますので未プレイの方はブラウザバック推奨です。

 

 

 

 

 1.あらすじ

そこは、人形支配の街

 そこは、首切りと裏切りの街

 たどり着いたのは不和の孤児院と果ての王都

 

 少年少女をする。

 存在するはずのないを求め、

 お伽噺のようなを追う。

 

 「僕は、を叶えたいんです」

 

 ただ純粋に、ただ無垢に、ただ、ただーー

 

 旅人が目にするいくつもの喜劇悲劇復讐劇は、

 人間の弱さ醜さを露呈させる。

 何がしくて、何が間違っているのか。

 復讐の連鎖はどこまでも惨劇を呼ぶ。

 

 不幸の中心にあるモノは、

 

 いつだって”人形”だった。

 そして、旅は終わる。全てが、終わる。

 

 

 2.登場人物

 リーベ

 少年ロマと共に旅をしている少女。年齢不詳、出身不明。

 様々な知識に精通しており、人形技術に関してもある程度理解している模様。

 

 何故旅人しているのか、なぜ少年と共に旅としているのか。

 それは物語の中で語られるだろう。

 

 ロマ

 彼だけのお姫様に仕える宮廷詩人。

 不安定な感情と脆く砕けやすい心は、何度も何度も苦しみを味わいながら強くなる。

 夢は破れても、彼は今ここに生きている。

 

 3.感想

 一章 人形支配の町

 リーベとロマの二人の主観が意図的に切り替えられ先を早く読みたくなりました。                        

 大抵の物語は冒頭で主人公の紹介を織り交ぜて話が進むものですが、この作品はリーベが吟遊詩人である点、ロマの夢を叶えるために旅をしている点程しか明かされず、想像を掻き立ててくれました。

 人形は食欲を持たないと説明しておきながら、ロマが食事をするという一場面で相反する挙動をすることでロマがただの人形ではないということを暗に示していました。

 ガイエルの主観による幸せではあったが、自分も住民と共に人形化し仮初の幸せを見ながら同じ運命を歩もうとしていたのは評価できる。

 リーベは非情なように見えるが、町の酒場で作戦会議をし自らが憎まれ役になったり、最後町に入り口で助言をしたりと事の後始末までしっかり考えておりしっかりしていましたね。

 鋼の錬金術師のキメラ犬の話みたいでしたね。

 

 幕間 記憶と記録の未知標

 幕間の通りのショートストーリーでしたが、リーベとロマの出会いについており短いながらも大切な章でした。ただ出会いの途中から詳細が語られないので今後の回収の仕方が楽しみです。

 

 二章 首切りと裏切りの街

 クレスがロマに人形、レジスタンスではないかという不信感を抱きモニカから遠ざけようとし、モニカは大切な友達だから関係ないという。ただクレスが「僕と人形、モニカはどっちを選ぶ?」問いに当然最近できた友達よりずっとともに暮らしてきた兄を選ぶという実に人間らしい選択。それとは対照的にそれを当選の選択だと思い、元あるべきところへ収束しただけだという機械的な乾いた結論を出したロマがまだ心がなく人間になり切れていないことが強調されており印象に残りました。

 アーデルハイドとの会話は人形ということでロマが人形になりきれていないところなどを的確に突いてくる。心はないが感情を理解できるためただ事実を突きつけているだけでも悪意のある言い方に聞こえ、この時点ではロマよりも人間に近い風に感じようなアーデルハイドのセリフの書き方、言い回しをしている。

 アーデルハイドを壊すと宣言しておきながら壊したくないということを貫こうとしたロマ、ロマの真意を見抜き自ら人質になり半ば強制的にロマの宣言を実行させようとするリーベ、本当は生きたかったが自身を壊したロマに感謝するアーデルハイド。壊したくないのに、生きたいのに壊れてしまう、が感謝するという矛盾。これがモニカの言っていた運命ですかね。

 

 三章 果ての王都と不知の孤児院

 王都に行きたいといったロマ、王都には絶対行かないと拒んだリーべ。最高傑作に会いに行きたいと自分の想いを伝えたのは意外でしたが、その提案を頑なに拒絶したリーベがさらに意外でした。その後1人で王都に行くべきだとロマに命令してまでロマの選択を尊重したのは大きな変化だったのではないか。

 記憶を失ったモニカだが自分のしたことは覚えており、ユッタにも子供たちにも誰に対しても自論を展開しそれが自分の経験に基づいたものでありなまじ正しいのが彼女が壊れてしまい異質さを表現していました。

 ハインケスとアルマの回想はとても良かったのですが、王国軍襲撃の前座のような感じで少しもったいなかったと感じました。

 

 終章 壊レタ人ギョウ

 「命令を聞くな」という命令、パラドックスの矛盾を自己の力で突破することで命令に背くという人形としてあり得ない事象を作り出すことで人形ではない、結果として人間であるという強引な解釈を起こしましたが、論理的な解釈だと感じました。一見パラドクスの矛盾が起こることを分かり命令し無責任なように見えるリーベだが、旅を始めた時からロマを人間であると思っており核心を持った行動にロマへの信頼を感じました。

 人形から一人の人間になったことで大切な人の対象が変わり大切な人を脅かす存在とまで言われ、しまいには「エメリヒはあなたを愛さない、あなたを愛していた存在は、名前はもう捨てましたから」とまで言い放つという変貌ぶり。夢が叶いハッピーエンドかと思いきやこのような旅の終わり方で衝撃的でした。「あなたを愛していた存在は、名前はもう捨てましたからからというエメリヒに成ったのではなくロマの記憶を引き継いだままエメリヒに置き換わっているというのがとても悲しかったです。

 グリウスが対峙した時に放った「偽物であるお前を殺しに来た。」というあのセリフを回収していくのすごいですね、鳥肌立ちました。

 壊レタ人ギョウ(リーベ)の為に壊レタ人ギョウ(ヒルデガルド)を殺そうとするが、壊レタと思っていたヒルデガルドに壊レタ人ギョウ(ロマ)が救われるというリーベに救われたといっても過言ではなかったですね。

 終わり方はあっさりしていました。「あんはっぴーえんど」と表示されたときは驚きましたが、あんはっぴーえんどを未完の物語と称したのは良く訳したなと思わされました。これによりグリウスとの対決も「壊レタ人ギョウ」から「あんはっぴーえんど」までの幕間の物語もなくても納得でき綺麗に纏まった終わり方でした。

 

 

 4.システム

 一部ではあるが背景がスライド式に変化し、舞台装置の移動を彷彿とさせる。

 セリフの吹き出しがクリアレインと違い、すべて白色でどのキャラのセリフなのか分かりにくかったです。

 

 

 5.最後に

 ということでいかがだったでしょうか。ルクル氏の作品を3本やりましたがどれも面白かったですね。商業版のエロゲが残っているのですがやるか迷いますね。

 

 

 

 

 

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